抄録
直線水路に交互砂州地形を模した河床形状を成形し,勾配と流量を広く変化させて流況を観察したところ,4通りの流動形態が確認された.すなわち(A)局所的な射流が発生し砂州地形により流れが左右岸に集中するもの,(B)局所的な射流が発生するが左右岸への集中はさほど見られないもの,(C)明確な射流域は見られないが水面の揺動が見られるもの,(D)全体的に常流で流下するものである.つぎに,各種流動形態の水深・流速分布を測定したところ,流動形態AとBでは,跳水によるエネルギー損失が支配的であること,水面形や流速分布の変化が流れ構造に大きな影響を与えていることがわかった.さらに側岸侵食実験を実施したところ,流量が小さくても流動形態Aの場合は,流量が大きい流動形態Dと同等以上の側岸侵食を発生させることがわかった.