抄録
近年,鋼橋の溶接部から多数の疲労損傷が報告されている.実橋梁に発生した疲労き裂は,一般的に磁粉探傷試験(MT)によって検出される.しかし,MTによる検査では,塗膜除去と再塗装を要するため,コスト・時間を要するという課題がある.さらに,MTは計測範囲が小さいという問題もある.そこで,本研究では,表面弾性波の伝播の様子を画像計測によって可視化することで,塗膜上から疲労き裂を検知できるかどうかを確かめた.計測結果から,塗膜割れのみ生じている場合は,面外ガセット溶接継手やT字溶接継手に発生したき裂を塗膜の上から検知することができた.しかし,塗膜割れとともにと塗膜の剥がれが生じている場合は,塗膜上からき裂を検知することが困難であることがわかった.