2017 年 73 巻 2 号 p. I_711-I_720
RC構造物のFEM解析において,弾塑性に起因する剛性マトリクスの対称性および正定値性の喪失がCG法高速ソルバの適用を困難にしてきたが,解決策としてコンクリート構成則の再定式化が提案された.再定式化された構成則をPDS-FEMに実装すると上記の解析は可能だが,計算負荷が高く,実用に適していない.そこで,PDS-FEMの代わりに,再定式化で無視されていた引張の構成則を実装することが効果的である.上記を背景に,本研究ではRC耐震壁せん断交番載荷実験をモデル化し,収束性が担保される要素サイズの下限の存在を実証した.鉄筋を梁要素とするハイブリッドモデルをフルソリッドモデルと比較し,実験の荷重-変位関係の再現性において両者が一定の歪以下で高精度であり,計算負荷の低い前者が後者に代替可能であることを示した.