2017 年 73 巻 2 号 p. I_821-I_830
原子力発電所の安全性を確保するためには,一定の信頼を得る断層変位の評価が求められる.本論文では,高性能計算を用いた数値解析による断層変位評価手法を提案する.また,検証用の計算モデルを用いた断層変位評価を実施し,基本的な断層挙動を整理するとともに,評価手法の有効性を確認する.その結果,地表面の断層変位は外力として入力される主断層底部のずれ変位に対して滑らかに変化せず,入力ずれ変位がある限界値を超えると急激に増大することがわかった.また,断層変位評価において,主断層底部の入力ずれ変位を強制変位として作用する場合には,副断層のずれ変位を過小評価する可能性があるため,ずれ変位を等価節点力として作用させる方法が有効であることが分かった.