抄録
橋梁の維持管理として5年に1回の定期点検が義務づけられている.この際,近接目視点検が一般的であるが,点検橋梁数が膨大であることや経験豊富な専門技術者の不足,目視点検が困難な箇所が存在するなど,多くの問題が潜在している.したがって,目視点検の効率化を目的として点検位置をスクリーニングするための損傷検知手法が求められている.そのため,橋梁の力学特性や振動特性を用いた損傷検知手法が多く検討されている.著者らも鋼アーチ系橋梁を対象とし,損傷により振動特性の変化に着目した自己組織化マップを用いることにより,損傷位置や損傷程度を検知する手法を提案している.本研究では,目視点検が困難な部材が軽微な損傷を有している場合にも,提案手法による損傷検知の可能性を示した.