抄録
開水路植生流れでは,大規模な組織渦が浮遊砂や栄養塩類などのスカラー輸送を支配するが,その詳細については不明な点が多い.特に本稿では沈水植生の揺動と乱流拡散特性の関係にフォーカスし,その定量評価を試みた.剛体植生モデルと柔軟植生モデルを用いた実験水路において,レーザー蛍光誘起法(LIF法)による染料濃度計測とPIV法を併用した乱流計測を実施した.前半部では剛体および柔軟植生によって生成される渦のスケールや移流速度を比較した.後半部では濃度と流速の瞬間場の同時計測データより,染料濃度と流速の相関特性を考察した.さらにスカラーフラックスを直接計算し,柔軟植生が揺動することで植生層内部への物質輸送効率が小さくなることが示された.