2019 年 75 巻 2 号 p. I_135-I_143
本論文では,時間変動場の効率的制御を目的として,Snapshot POD を活用した流れ場の形状最適化問題を定式化する.具体的には,Snapshot POD で得られた固有値を目的関数と定義し,Reynolds Average Navier-Stokes 問題と Snapshot POD の固有値問題を制約関数とする.そして,Lagrange 未定乗数法と有限要素法に基づき目的汎関数を設定する.次に,この目的汎関数の領域変動をとり,主問題と随伴問題を解いた後,感度を評価する.その際,感度の評価に一般 J 積分を利用し,正則化として 𝐻1 勾配法を用いた.そして,目的関数が最小化するまで逐次的に領域変形を行った.従来の最適設計技術では,主に時間平均場のみを用いて目的関数を設定していたが,本研究では,Snapshot POD を導入することで時間変動場を用いることに成功している.当該スキームの妥当性を検証するために,円盤形の孤立物体を有する 2 次元 Cavity 流れを採用し,Newton 流体と非 Newton 流体で検証したところ,時間変動場の固有値が最小化していることを確認した.