2019 年 75 巻 2 号 p. I_623-I_633
レール損傷で発生が多い形態の一つに,頭部から発生する横裂があり,その横裂進展特性の把握が求められている.本研究では,レール頭部内部の残留応力を測定し,かつレール形状やき裂先端の特異場を考慮したFEM解析を実施して,残留応力およびき裂発生位置が横裂進展に与える影響を評価した.焼鈍や使用履歴でレール頭部内部の残留応力が変化し,横裂進展速度に影響することを示した.測定した残留応力およびレール形状等をFEM解析に反映させることでその解析精度が良いことを示した.測定した残留応力を考慮した解析結果と比較して,考慮しない場合は同じ深さで0.5倍程度の横裂進展速度となった.レール断面方向において,横裂の位置が異なることにより,レール破断に至る横裂深さが異なることを明らかにした.