2019 年 75 巻 2 号 p. I_63-I_70
高度経済成長期に建設された社会基盤構造物の経年劣化,老朽化が進行しており,効率的かつ定量的な診断手法が求められているが,塔状トラス構造物の代表例として挙げられる送電用鉄塔においても同様である.本研究では代表的な経年劣化事象のボルト緩み,部材腐食,基礎変位等による送電用鉄塔の振動特性の変化から効率的かつ定量的な健全性評価を実施するため,高解像度カメラや加速度計を用いたヘルスモニタリング手法の基礎的検討を実施している.
本論文では,解析上で部材腐食や基礎変位を模擬し,送電用鉄塔の振動特性にどの程度の影響を与えるか確認した.また,実際に基礎変位鉄塔と診断された送電用鉄塔の振動特性の変化を解析で確認し,その結果が実際の送電用鉄塔を高解像度カメラと加速度計を用いて振動計測をした結果と一致するか検証した.