土木学会論文集A2(応用力学)
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和文論文
斜面災害データベースに基づく自然斜面の地震時損傷度曲線
吉田 郁政小野 達也
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2020 年 76 巻 2 号 p. I_521-I_529

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抄録

新潟県中越地震 (2004) により生じた 4,321 か所の斜面崩壊のデータベースをもとに地表面最大加速度や計測震度に対する斜面崩壊の損傷度曲線の算定を行った.自然斜面については斜面の数を的確に定義することは容易ではないため,勾配別の斜面総面積と崩壊した面積の比である崩壊面積比率と地震動強度の関係を整理して損傷度曲線を求めた.地震動強度については気象庁と防災科学技術研究所から 131 地点の地表面最大加速度と計測震度の情報を入手して,クリギングにより空間内挿して推定した.これらの情報に基づき,崩壊面積比率を目的変数,斜面勾配と地震動強度を説明変数とした重回帰分析を行い,損傷度曲線を算定した.この損傷曲線により任意の斜面勾配及び地震動強度に対して斜面崩壊の面積比率を算定することができ,例えば,勾配 35 度の斜面において最大加速度 1350gal あるいは計測震度6.3の地震動強度に対する崩壊面積比率は 0.1 程度であった.

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