2021 年 77 巻 2 号 p. I_451-I_456
洪水時,側岸侵食による河川堤防の決壊が流量のピーク時ではなくピークから減少する過程で発生するケースがいくつか確認されている.本研究では,側岸侵食の原因が砂州の発達による流れの偏奇にあると考え,流量の変化を考慮した砂州の安定解析を行った.流量の変化する速度が砂州の波高が発達する速度に比べて十分にゆっくりであると仮定し,河床変化の時間 𝑡 と流量変化の時間 𝑇 の二つの時間を導入する.それら二つの時間スケールによる多重尺度展開を用いた線形安定解析を行うことで擾乱の発達速度を 𝑇 の関数として求めた.解析の結果,擾乱に対する河床の不安定性が最大になるのは流量がピークよりも小さい時であることが明らかとなった.