2021 年 77 巻 2 号 p. I_47-I_57
本研究では, 2 次元面内粘弾性波動問題を対象とした線形化逆散乱解析を開発し, 粘弾性体中の領域型欠陥および境界型欠陥の位置や形状を再構成することを試みる. ここでは, 粘弾性波動問題に対する散乱波の積分方程式に対して, Born 近似および Kirchhoff 近似を用いることで, 粘弾性体中の領域型欠陥および境界型欠陥に対するそれぞれの欠陥形状再構成式を導出する. また, 逆散乱解析に必要となる散乱波の計算は, 時間領域の閉じた基本解が求まらない粘弾性波動問題に対しても, 高精度かつ安定に時間領域解析が可能である, 演算子積分時間領域境界要素法 (CQBEM: Convolution Quadrature Time-domain Boundary Element Method) を用いて行う. 以下では, 粘弾性体中の領域型および境界型欠陥に対する 2 次元線形化逆散乱解析の定式化を示し, いくつかの数値解析例を示すことで, 本手法の有効性を検討する.