2006 年 62 巻 2 号 p. 404-413
主に粘性土で構成される軟弱路盤上のバラスト軌道を剛性の高い省力化軌道へと更新すると,列車荷重によって路盤土が軟弱化し,路盤土の流出や路盤陥没等の変状を生じることがある.しかし,省力化軌道下の路盤変状の発生プロセスが明らかになっていないため合理的な変状対策法は未だ確立していない.
本論文において筆者らは,実際の列車走行を模擬した移動荷重載荷試験によって,省力化軌道下の粘性土路盤変状の発生プロセスについて検討した.その結果,省力化軌道下の路盤変状は,列車荷重に伴う水圧変動で路盤面に有効拘束圧が十分に作用せず,軟弱化した路盤表面の土がパイピングによって流出することが主な原因であることを確認し,合理的な路盤変状対策の基本方針を明確にした.