2006 年 62 巻 2 号 p. 390-403
H-H継手を施した連結鋼管矢板は,鋼管矢板の継手箇所に内在した剛性,施工性および遮水性の問題を根本的に克服できる画期的な部材である.本研究では,安全で信頼性の高い海面埋立処分場技術の構築を目的として,H-H継手を施した連結鋼管矢板を適用した廃棄物埋立護岸の遮水性および有害物質の遮蔽効果を検討している.H-H継手を施した連結鋼管矢板の遮水性を評価した実規模室内透水試験では,H-H継手を施した連結鋼管矢板の遮水性は海水・淡水環境に差異がなく,遮水工構造基準を2オーダー程度下回る高い遮水性を発揮できることを示した.また,浸透・移流分散解析を用いた廃棄物埋立護岸の遮蔽効果の検討では,廃棄物埋立護岸として継手嵌合された鋼管矢板を適用するためには,10-8 cm/sオーダーの透水係数を確保することが望ましいことを明らかにしている.