抄録
独立行政法人日本原子力研究開発機構は,北海道幌延町において地層処分研究の一環として幌延深地層研究計画を進めている.本論文では,地上からの調査研究段階のうち,地下水流動に関する主な調査研究の成果を体系的に説明した.水文調査では,涵養量が河川流域によって異なり,これが植生や地形に依存する可能性を示した.ボーリング調査では,原位置試験規模の透水係数にはばらつきや深度依存性があること,室内試験規模の透水係数は過去に受けた応力状態の影響も反映していることがわかった.調査を踏まえた地下水流動解析からは,地下水が河川流域を跨いで流動していることや,深部に高い全水頭が保持されていることがわかった.