2012 年 68 巻 2 号 p. 62-79
道路舗装マネジメントでは,ポットホール等の局所的損傷に対する補修費用と,オーバレイ等の舗装表層・基層部の補修・更新費用で構成されるライフサイクル費用の評価を行うことが重要である.本研究では,舗装の劣化過程を比較的発生頻度が高い局所的損傷と,相対的に変化の遅い路面の劣化過程で構成される複合的な劣化過程としてモデル化する.その際,路面健全度の経時的変化過程をマルコフ劣化モデルで表現し,局所的損傷の発生率が路面の健全度分布に依存するようなポアソン隠れマルコフ劣化モデルを定式化する.さらに,マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を用いたモデル推計手法を示すとともに,具体的な適用事例を通して,提案したポアソン隠れマルコフ劣化モデルの適用可能性について実証的な分析を試みる.