土木学会論文集F4(建設マネジメント)
Online ISSN : 2185-6605
ISSN-L : 2185-6605
68 巻, 2 号
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和文論文
  • 幸 和範, 小林 央宜, 大石 博之, 杉本 博之, 飯田 毅, 古川 浩平
    2012 年 68 巻 2 号 p. 52-61
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,橋梁の伸縮継手の点検・補修データをサポートベクターマシンで分析することにより,設備の補修必要度の設定を試みたものである.サポートベクターマシンは,斜面の災害発生度の評価に利用した研究例がある方法であるが,土木設備の補修必要度評価に適用するためには学習データに含まれているノイズの効果的な除去について検討する必要があった.そこで,本研究では過去の補修実績から確度の高いデータを抽出し,ノイズデータを客観的に排除した上で,補修必要度の設定を行う手法を開発した.設定した補修必要度は,専門技術者の判定と非常に高い整合性を有していることから,土木設備の維持管理計画のためのツールとして有効であることが示された.
  • Le Thanh NAM, 貝戸 清之, 小林 潔司, 起塚 亮輔
    2012 年 68 巻 2 号 p. 62-79
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
     道路舗装マネジメントでは,ポットホール等の局所的損傷に対する補修費用と,オーバレイ等の舗装表層・基層部の補修・更新費用で構成されるライフサイクル費用の評価を行うことが重要である.本研究では,舗装の劣化過程を比較的発生頻度が高い局所的損傷と,相対的に変化の遅い路面の劣化過程で構成される複合的な劣化過程としてモデル化する.その際,路面健全度の経時的変化過程をマルコフ劣化モデルで表現し,局所的損傷の発生率が路面の健全度分布に依存するようなポアソン隠れマルコフ劣化モデルを定式化する.さらに,マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を用いたモデル推計手法を示すとともに,具体的な適用事例を通して,提案したポアソン隠れマルコフ劣化モデルの適用可能性について実証的な分析を試みる.
  • 富松 義晴, 沼田 淳紀, 濱田 政則, 三輪 滋, 本山 寛
    2012 年 68 巻 2 号 p. 80-91
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
     持続可能社会へ方向付けることは,今世紀前半に実施すべき課題の一つである.土木事業においても,自然生態系への影響を大幅に減じ持続可能社会実現に貢献するため,二酸化炭素排出削減や二酸化炭素そのものを大気中から削減できる技術開発が望まれる.筆者らは,土木分野からの貢献の一つとして,土木事業で大量に木材を使用することを提案する.しかし現状では,多くの土木技術者は木材利用についての教育を受ける機会もなく,その環境的意義,森林の現状,木材の耐久性や力学的特性について誤解があるのも事実である.そこで本論文では,土木事業における木材利用について持続可能社会へ向けての意義を述べるとともに,具体的な木材利用方法の可能性として,軟弱粘性土地盤や液状化地盤対策などの地中での木材利用が有効であることを示す.
  • 宇野 洋志城, 木村 定雄
    2012 年 68 巻 2 号 p. 92-108
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
     本論文では,道路トンネルを対象としたアセットマネジメントの精度向上を目指し,ライフサイクルコストの算定に包摂されるリスクの曝露とその評価を研究対象としている.中でも,道路トンネルにおける覆工コンクリートのはく落現象に着目し,そのリスクを評価するためにはく落リスク変動モデルを提示し,その特性を示した.
     変動要因の影響分析を行った結果,年平均はく落リスク,年平均はく落発生確率,衝突確率,迂回確率,人身損失および救急医療損失が,ライフサイクルコストの算定に大きく影響を及ぼすことが明らかとなり,それらに比べて交通規制と点検条件は比較的影響が小さいことを明らかにした.
  • 髙木 朗義, 本城 勇介, 倉内 文孝, 浅野 憲雄, 原 隆史, 沢田 和秀, 森口 周二, 北浦 康嗣, 八嶋 厚
    2012 年 68 巻 2 号 p. 109-122
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,岐阜大学の研究グループが,岐阜県と共同で進めている「社会基盤施設アセット総合マネジメント」プロジェクトの一環を成すものであり,岐阜県飛騨圏域の道路斜面の落石を対象として構築したリスクマネジメントプロトタイプについて報告するものである.落石発生確率は,岐阜県が管理する対象地域内の約3000箇所の道路斜面の防災点検結果と実際の落石履歴データから,ロジスティック回帰分析を用いて推定した.経済損失は,物的損失,人的損失,迂回損失,救急医療損失,孤立集落損失の5種類として,各斜面の落石に起因する経済損失を評価した.落石発生確率と経済損失の評価結果より,各斜面のリスクを算出し,得られた結果を分析した.得られた結果は,現実との整合性が確認され,対策順位等を検討する上で有益な情報であることを確認した.
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