抄録
本研究では供用開始後86年が経過した24連の鋼鉄道橋を対象として,列車走行試験およびインパルスハンマー試験を通して,振動特性(固有振動数,振動モード形)の同定を実施した.24連は全て同一の構造形式を有し,同一の荷重条件とほぼ同様の環境条件の下で供用されている.同定した振動特性(70Hzまでの12モード)を相対的に比較した結果,24連の振動特性に明確な差異は確認できず,供用開始後86年が経過しても適切な維持管理のもとにおいては振動特性はなお均質であることが判明した.さらに,列車走行試験により同定した振動特性と,構造諸元や列車諸元との関係を統計的に分析した結果,レールジョイントに近い計測点ほど振動モード形のモード振幅が有意に増加すること,その影響度はモードごとに異なることを明らかにした.