土木学会論文集F4(建設マネジメント)
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特集号(論文)
総合評価方式(加算方式)における価格評価方法と応札行動の比較分析
秀島 喬博小澤 一雅
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2013 年 69 巻 4 号 p. I_145-I_157

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抄録

 平成11年に公共事業において初めての総合評価方式が適用されてから,我が国では国土交通省を中心として総合評価方式の適用が拡大し,現在では,地方公共団体,公益法人や道路関連会社なども含めて多くの公共事業において,様々なタイプの総合評価方式が実施されている.一方で,総合評価方式の課題が指摘され,その運用方式の改訂が行われると同時に,市場の変化や発注者のニーズの変化等により,今後も必要な改訂が繰り返されることが予想される.本稿では,総合評価方式における評価方法の違いが応札行動に及ぼす影響を明らかにするため,加算方式の総合評価方式を適用している発注者の中でも特徴的な価格評価をしている6つの発注者の入札結果を対象に比較分析した.比較分析の結果,価格評価を緩和せず価格評価基準を高く設定する価格評価方法では,価格評価基準に応札が集中し,価格評価を緩和して価格評価基準を低く設定する価格評価方法では,価格評価基準に応札が集中しないことなどが分かった.また,技術評価方法に関しては技術点の配点を大きくするよりも技術点差をつけることで,価格より技術で落札者が決まる傾向が強くなることなどを確認した.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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