2015 年 71 巻 4 号 p. I_181-I_188
公共事業費の削減,就業者の減少により地方部の建設業では廃業を余儀なくされる企業が増え続けると予想される.しかしながら,地方部の建設業は社会資本の整備・維持,災害復旧・復興,除雪等の役割を担っているため,当事者の自助努力はもとより,企業間の連携,異分野展開等の対策を自治体が働きかけていくことも重要である.これらの具体的な対策を企画するに際しては,現在どのような経営状況の企業がどれほど存在するのかを把握するとともに,対策を講じた場合での持続可能性への貢献を診断できれば有用である.また,自治体は経営の当事者ではないため,一般的な情報を用いて診断できる手法が必要である.そこで本研究では,損益分岐点分析を用いた診断手法を検討するとともに,鳥取県を対象に実証分析を行う.