土木学会論文集F4(建設マネジメント)
Online ISSN : 2185-6605
ISSN-L : 2185-6605
73 巻 , 4 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
特集号(論文)
  • 村岡 治道, 野口 好夫, 鈴木 弘司
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_1-I_9
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     著者らは,(公社)土木学会建設マネジメント委員会に置かれている発注者としての技術公務員の役割と責務研究小委員会において,都道府県,政令指定都市に勤務する土木系技術公務員(以下,技術公務員)の今後の在り方を論ずるため,技術公務員の置かれた現状の問題,課題等を詳細に把握する必要があることを確認した.
     本研究では,技術公務員を対象としたヒアリング及びアンケートを実施し,技術公務員に関わる業務,技術,意識について現状と問題を把握した.次に,技術公務員が担う業務を体系的に構造化分析した結果から,彼らの役割と責務を明らかにし,官民役割分担の見直し,公共調達制度改善など,現状の問題と課題解決のために今求められる技術公務員の役割と責務を示し,さらに技術者倫理,技術評価という新たな知見について考察を加えた.
  • 野村 貢, 芥川 真一, 佐藤 毅
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_33-I_44
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     斜面工事を行う場合や斜面施設の管理者は,関係市民や工事関係者の安全を確保するため計測システムを性能規定化する必要性がある.計測システムの設計者は,さまざまなセンサーデバイスやアウトプットツールを用いて計測システムを構築するが,これまで各プロセスおよび全体の計測システムについて要求の性能を保有していることを容易に説明できる方法がなかった.本研究は斜面工事に着目し,計測システムの性能を規定した.さらに各プロセスと全体システムの性能を評価する方法を提案し,FMEAを用いることで簡便に計量化する手法を提案するとともに,閾値の提案,実工事での検証結果から実用性があることを証明した.
  • 小林 優一, 野間 卓志, 小林 一郎, 緒方 正剛
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_45-I_54
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     新水事業は,2007年から約4年をかけて実施された事業である.当該地区は各主要交通の重要なクロスポイントであり,複数の事業による工事が同時並行で行われる複雑な事業であった.
     さらに,九州新幹線全線開通を2011年3月までに完成させる必要性も重なり,かつ円滑な施工計画・実施には発注者間の横断的な調整が必須であった.
     本論では,新水事業において二層の協議システムが特に有用であった2つの事例について,本研究室が担った役割を考察した.その結果,今回のような事業を成功させるには,データを含めた事業全体をマネジメントする役割を果たす存在が重要であると確認できた.
     これを踏まえ,事業をマネジメントするために必要不可欠な存在(チーム)の在り方を提唱し,そのチームを構成する3要素について考察する.
  • 宋 政樹, 堀田 昌英
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_64-I_75
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     近年,多様な入札契約方式の導入が進む中,新たな受発注者間のリスク分担の形態として「ターゲットコスト契約・ペインゲイン方式」という契約支払方式が検討されている.本研究では,ターゲットコスト契約において,リスク分担率が受発注者の行動に与える影響を両者のリスク性向と共にモデル化し,実事例の工事原価データを用いて分析を行った.モデル分析によって,ペインゲイン方式導入の効果が工事原価変動と受注者の努力費用との大小関係の相異によって変化することを示した.また,工事原価を変動させたシミュレーション分析を行うことによってペイン・ゲインの大小に応じて異なる分担率を設定することが合理的であることを示唆した.
  • 大西 智樹, 宮本 和明
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_76-I_87
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     わが国では民間の資金やノウハウを活用したPFI事業の推進が図られ事業件数も増加してきている.その事業者選定においては,一般的に入札価格と性能の両方を考慮した総合評価方式が採用されている.総合評価方式に用いられる算出式の分類・特性に関する既存の研究も見られるが,わが国の現状を踏まえての具体的な課題の指摘やそれに対する改善提案はほとんど見られない.そこで本研究の目的は,わが国のPFI調達プロセスにおける総合評価方式の課題を改めて整理し,改善策を提案することである.まず,これまでの入札に用いられた総合評価方式における価格点算出式を比較分類した結果,そのほとんどにおいて最低入札価格に依存する逆比例式が採用されていることが明らかになった.しかし,この式を用いた場合,第三者の最低価格により落札者が入れ替わる可能性があることを示し,その問題を明らかにした.これを含む現状の問題を克服するために,予定価格に基づく式を採用することを提案している.
  • 新田 大輔, 小澤 一雅
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_88-I_99
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」の施行以降,国土交通省では多様な入札契約方式の導入・活用を促進し,新しい入札契約方式が導入されつつある.多様な入札契約方式の1つであるECI方式について,すでに導入されている建築工事案件についてヒアリングを実施し,その事例分析を行った.その結果,ECI方式導入において入札不調回避を目的としている自治体が多いこと,施工者の技術の取り入れ,工期短縮に関して期待以上の効果があったこと,設計の不具合発見や施工上の課題を反映することで変更事項が減少すると期待できることが分かった.また,課題として,プロポーザル時に競争性が働く環境を整えるのが重要であること,協働作業時において発注者のリーダーシップが重要であることが分かった.
  • 蓮池 里菜, 木下 幸治, 矢島 賢治, 高木 朗義, 六郷 恵哲
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_100-I_111
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     岐阜大学では,平成28年度に採択された「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)実装プロジェクト」において,SIPで提案された新技術の社会実装を目指した取り組みを進めている.本研究では,岐阜県内を対象として新技術の社会実装上の障害・対策の明確化を目的に,技術開発者,発注者,受注者の異なる立場の技術者へアンケートを行った上で,より直接的な意見を収集するヒアリングを行う2段階調査を実施した.その結果,立場により障害は異なるため,立場間の溝を埋める第3者機関による立場毎の対策を示す情報共有の場の提供が必要であると考えた.その上,市町村が管理する土木構造物を対象に新技術のフィールド試験を行い,立場によらず多くの参加者を得た立場間の溝を埋める意見交換が,新技術の社会実装への糸口であることを見出した.
  • 森 芳徳, 秋葉 正一, 関 健太郎
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_120-I_129
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日の翌朝,筆者は国土交通省関東地方整備局のヘリコプターに搭乗し,関東から東北南部にかけて山岳部や湾岸部の至る所で土砂崩壊や津波が発生し,変わり果てた国土の情景を目の当たりにした.あの東日本大震災から6年,その後も関東・東北豪雨,熊本地震等の大規模な自然災害,また,中央道笹子トンネルの天井板崩落等のインフラの老朽化に起因する事故が後を絶たない.これらの対策として,国土交通省では,道路法の改正,定期点検要領の策定,技術基準の策定,地方公共団体との道路メンテナンス会議の開催など様々な取り組みを行っている.更に,2013年をメンテナンス元年,2016年を生産性革命元年と位置づけ,人口減少化社会を見据えた様々な施策にも取り組んでいる.しかしながら,現場の実態としては,慢性的な人員不足の状況の中で,通常業務に加え,目の前の現場で発生する災害等の対応に追われており,新しい施策についても十分な対応が図られていない状況にある.
     本研究は,筆者が現在所属する研究機関における活動と過去に所属した国の研究機関や道路行政機関における経験,及び土木学会の委員会活動等で得られた知見に基づき,道路行政分野を事例に,これからの防災やメンテナンスの対応を中心としたインフラマネジメントの方向性について,自主的に研究・考察したものである.
  • 平島 寛, 小澤 一雅
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_130-I_141
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     道路の維持管理業務委託において,民間事業者の創意工夫を引き出すためには,維持管理業務のパフォーマンスに応じて,サービス対価を支払う方式が有効だと考えられている.一方で、民間事業者のエージェンシー・スラックを防止する必要がある.本稿では,道路PPP事業のアベイラビリティ・ペイメント方式で適用実績がある支払減額メカニズムに着目し,その適用可能性と条件を検討した.民間事業者に業務遂行のインセンティブをもたせることができる条件を,プリンシパル・エージェント問題の観点から分析した結果,発注者の裁量である支払い減額倍率を適切に設定することで民間事業者のスラックを抑制し、維持管理のパフォーマンスを向上させる可能性があることが示唆された.
  • 森 啓明, 杉浦 聡志, 衣斐 友良, 髙木 朗義
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_142-I_152
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     現在我が国では,道路施設を効率的に維持管理するための取り組みに注力している.しかし,中小自治体は国と比較して予算や人的資源が限られている.そのため,国や大規模自治体同様の手法をとるのは困難であり,中小自治体でも取り組めるような効率的な維持管理戦略が必要である.岐阜県は複数構造物の修繕必要性をリスク評価で一元的に取り扱うことで投資の効率性向上を狙った総合的な維持管理手法「社会資本メンテナンスプラン」を採用している.しかし,リスク評価には多くのデータが必要であり,中小自治体に適用するのは困難である.本研究では,リスク評価を簡易化した普及版モデルを作成する.実在する道路施設へ適用し,AHPによる優先順位や管理者判断による優先順位と比較することにより妥当性を検証した.
  • 梶間 厚邦, 小林 潔司, 小濱 健吾, 貝戸 清之
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_153-I_164
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,高速道路インフラにおける未補修変状数が経年的に増加している理由として,1)変状の多様性と発生過程の複雑性に関わる要因と,2)現場における構造物マネジメントに起因する要因を指摘する.前者の影響を分析するために,変状発生の時間的生起分布の特性,変状相互間の波及・増幅関係の存在について分析する.後者に関しては,補修行為が新たな変状発生に及ぼす影響や,補修行為の実施判断におけるマネジメント上の課題について分析する.その上で,道路管理者が長期的な変状発生過程を抑制し得る可能性について考察する.さらに,未補修変状数を可能な限り低い水準に維持することの重要性を指摘するとともに,そのために必要なマネジメント体制を確立するための課題について考察する.
  • 加藤 聡, 宗広 裕司, 五艘 隆志, 松丸 亮
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_165-I_175
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     官民連携(PPP)に対する役割と期待は,今や開発途上国における地域開発や開発協力の分野でも高まっているが,民間部門の参画の観点から,この地域開発型PPPには事業の小規模性という克服すべき課題があることが明らかになっている.本研究は,我が国のPPP/PFIのさらなる活用のために議論が進む「バンドリング」に着目し,この手法の効果が,海外のPPPにも適用でき,開発途上国の地域開発型PPPの課題解決にも有効であるか検証することを目的としている.本稿では,本邦建設コンサルタントが参画しているフィリピン・ミンダナオ島での地域開発を目指した複数のPPP事業のうち,特に再生可能エネルギー事業の実施事例を取り上げながら,先行研究では国内のPPP/PFIを対象にその効果が検証されたバンドリングについて,海外のPPPにおいても効果があり,開発途上国の地域開発型PPPでも有効な手段となり得ることを示した.
特集号(報告)
  • 高橋 和雄, 松田 浩, 中村 聖三, 森田 千尋
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_10-I_20
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     長崎大学は2008年度に全国に先駆けて自治体及び建設業界からなる産学官連携コンソーシアムにより,道路の維持管理を担う社会人技術者を育成する道守養成講座を開催してきた.道守養成講座の開始から7年が経過した2015年4月の時点で道守認定者は約200人に達し,公共工事等に活用できる程度の認定者数が確保された.道守認定者の活動,活用及び意向等はこれまで具体的に把握されていない.そこで,本アンケート調査により,道守認定者としての活動内容,技術者としての活動,道守に関する情報入手,組織化,道守認定者としての自己評価,今後の道守養成講座の実施等についての現状と課題を明らかにした.さらに,アンケート調査の結果に基づいた道守養成講座の見直し,道守認定者への情報提供方法,認定後の活動内容等についてまとめる.
  • 松田 浩, 中村 聖三, 森田 千尋, 奥松 俊博, 高橋 和雄
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_21-I_32
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     インフラ再生を担う技術者育成の重要性に着目した長崎大学インフラ長寿命化センターは自治体,地域の建設業等からなるコンソーシアム“道守”養成ユニットを全国に先駆けて2008年度に設立した.社会人技術者を対象としたインフラの維持管理のキャリアを形成する学習ユニット積み上げ方式の道守養成講座のカリキュラムを開発し,人材育成を継続してきた.道守認定者の活動はこれまで主としてボランティアであったが,国土交通省による民間資格への登録を契機に維持管理に関する技術者としての活動が開始された.本論文は,道守養成講座の実施体制,養成講座のカリキュラム,達成評価基準,養成者数等の実績をこれまで蓄積された資料に基づいてまとめる.さらに,道守認定者の資格更新,認定後の自主的な活動,技術者としての活動等についてまとめる.
  • 神﨑 恵三
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_55-I_63
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     少子高齢化にともなう熟練作業員の離職や若年層への技術伝達不足,及び今後急速に増加するインフラ施設の老朽化は,建設業界において早急に対策を立てなければならない課題である. 国土交通省により提唱されたCIMやi-Constructionは,このような問題を解決すべく,3次元モデルをツールとして,建設現場の生産性の向上や構造物のライフサイクルにわたる維持管理・点検を実施するものであり,建設生産システムの大きな変化を主導するものである.
     本稿は,CIMやi-Constructionの方針に基づき,3次元モデルを計画段階から,測量,施工管理,さらに維持管理に活用できるツールとして用いている3事例を示し,施工規模や内容に適した3次元モデルの作成手法を説明するとともに,建設生産プロセスにおける有効な活用方法や導入効果について検討を行うものである.
  • 田中 徹政, 松田 浩, 牧角 龍憲, 高橋 和雄
    2017 年 73 巻 4 号 p. I_112-I_119
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/05
    ジャーナル フリー
     内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムにおける「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」の分野では,様々な点検,診断技術の研究開発が進められている.これらを維持管理に活用することにより,維持管理・更新等に係るコストの縮減や維持管理業務の効率性の向上に寄与することが一層期待されている.開発された技術を現場に導入するためには,社会ニーズを踏まえた上で戦略的かつ的確に技術シーズとのマッチングを推進していく必要がある.
     そこで,本研究では九州・山口地域の自治体を対象として,インフラ維持管理業務の実態とニーズを把握するためにアンケート調査を実施し,今後の社会実装に向けて取り組むべき課題について整理した.
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