2020 年 76 巻 1 号 p. 83-89
現在,土砂災害に対する防災対策の検討に際して,経済性に加えて,施工性や環境面等にも考慮した総合的な比較検討の実施が求められている.しかしながら,環境や施工性の高度化と経済性とは,トレード・オフの関係になることが多く,アカウンタビリティーの観点より,これらの比較における根拠の明確化(例えば,定量的な指標)は重要であると考えられる.そこで,本研究では土砂災害対策における一般的な崖地対策や土石流対策の工法に関して,試行的に,設計実務者が工法比較検討時に際して考慮する経済性,施工性,環境等の着眼点に関する重みについて,複数の管理者,学識経験者,コンサルタント等を対象にしたアンケート調査及びAHP分析により定量的に把握するとともに,その活用方法について例示している.