2020 年 76 巻 1 号 p. 63-82
橋梁RC床版の劣化と床版直上のポットホール発生は互いに影響を及ぼし合うことが経験的に知られている.RC床版の目視点検には多大な労力と費用を要する一方で,ポットホールの発生状況は日常の道路巡回を通して確認できる.そこで本研究ではRC床版の劣化とポットホールの発生との相互関係を明示的に考慮したポアソン隠れマルコフ劣化ハザードモデルを開発した上で,目視点検の効率化や,状態依存型の点検施策への移行を視野に入れた点検手法を提案する.具体的には,RC床版の目視点検周期を延伸する際に,日常の道路巡回で獲得できるポットホールの発生頻度を補完的情報として,延伸期間中の安全を担保する点検に関する理論的方法論を構築する.最後に,実際の道路橋RC床版とホットホールを対象とした点検データを用いた適用事例を示す.