2020 年 76 巻 2 号 p. I_132-I_145
道路橋を適切に維持管理してゆくためには,維持管理に関わる主体が行う行為や意思決定に必要な技術力を有する技術者が継続的に確保できるように,目標を明確にした戦略的な人材育成を行う必要がある.一方,非破壊試験技術,モニタリング技術等,維持管理を支援するツールの開発が推進されている.支援ツールは闇雲に適用しても維持管理の質が改善されるとは限らず,支援ツールを使いこなせることも技術者に必要な技術力の1つと考えられる.
そこで本研究では,戦略的な人材育成の実現に向け,認知心理学に基づき教育分野で開発された「ブルーム・タキソノミー」の枠組を用いて,支援ツールを適切に用いて道路橋の維持管理における損傷状態の把握や対策の決定といった技術的な判断や検討,及び措置の質を改善する技術力の解明を試みる.