日本はODAにより多くのインフラを整備しているが, 自然条件, 建設事情, 維持管理能力などが異なる途上国の環境では我国の既存技術を適用出来ない場合が多く, 国毎に異なる環境条件に適した技術(以下「適正技術」)を考案することが必要とされている.この状況は日本では十分には理解されておらず, これまで工夫された適正技術が適切には評価されていない. そのためこれまでの経験と教訓が新たな事業に十分には反映されていない. 本研究は我国ODAによるインフラ整備で適正技術を導入した事例について調査研究を行い, 技術・工法選定に伴うリスクに関してドナー・ホスト国双方の立場から分析評価し, 新たな技術評価手法の検討を試みた. また, 適正技術の情報の共有化・体系化と教育研究レベルでの途上国技術の取組みの必要性ならびに具体的方策について検討・提案し, 適正技術適用に関わる技術者のモチベーションについても考察した.
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