土木学会論文集F4(建設マネジメント)
Online ISSN : 2185-6605
ISSN-L : 2185-6605
76 巻 , 2 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
特集号(論文)
  • 横倉 順治, 二宮 仁志, 渡邊 法美
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_1-I_19
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     日本はODAにより多くのインフラを整備しているが, 自然条件, 建設事情, 維持管理能力などが異なる途上国の環境では我国の既存技術を適用出来ない場合が多く, 国毎に異なる環境条件に適した技術(以下「適正技術」)を考案することが必要とされている.この状況は日本では十分には理解されておらず, これまで工夫された適正技術が適切には評価されていない. そのためこれまでの経験と教訓が新たな事業に十分には反映されていない. 本研究は我国ODAによるインフラ整備で適正技術を導入した事例について調査研究を行い, 技術・工法選定に伴うリスクに関してドナー・ホスト国双方の立場から分析評価し, 新たな技術評価手法の検討を試みた. また, 適正技術の情報の共有化・体系化と教育研究レベルでの途上国技術の取組みの必要性ならびに具体的方策について検討・提案し, 適正技術適用に関わる技術者のモチベーションについても考察した.

  • 山口 悟司, 齋藤 孝信, 関 健太郎
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_20-I_31
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     昭和30年代から現在に至るまで,全産業の死亡者に対する建設業の割合は高く,対策の必要性は高い.対策の一つとして,工事の作業内容別に分類された事例集の活用があるが,分類済みの事例集は非常に少なく,十分な学習につながらない.

     本研究では,既存の建設工事事故事例集を作業内容別に分類する方法として,計量テキスト分析に着目し,各事例集に共通する災害状況の文書データを分析対象として,作業内容の分類傾向及び分類方法を検討した.

     その結果,土木工事業全体のデータから,動作及び資機材、作業場所に関する品詞の共起関係を確認することで,主要な事故の型に関連性のある作業内容を抽出できた.また,共起に着目した分類手法を検討し,事例集内の主要な事例に対して,計量テキスト分析を用いた作業内容別の分類方法を整理した.

  • 二宮 建, 榎本 真美, 下川 光治, 服部 達也, 新田 恭士
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_32-I_46
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,土木分野における技能労働者不足の背景のもと,日本国内の老朽化しつつある橋梁に対する効率的な維持管理の実現に向けて,点検ロボットを活用する場合の橋梁点検の課題にコンピュータビジョンの分野からアプローチするものである.

     本研究では,現在の橋梁点検手法を整理し,点検ロボットとコンピュータビジョンを活用した「橋梁3次元データを活用する橋梁点検手法」を提案し、プロトタイプを用いて期待できる適用効果を検証するとともに,点検ロボットと画像管理ソフトウェアへの要求事項を取りまとめた.また,3次元データの活用をベースとした国土交通データプラットフォームに本提案手法の点検成果を連携する際の課題について整理するものである.

  • 坂本 淳
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_47-I_59
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     東日本大震災を教訓として津波防災地域づくり法が制定され,全国の沿岸部の津波浸水想定は見直された.該当する都市では,従前からの課題であった人口減少・高齢化に加え,津波災害リスクを考慮したまちづくりが求められるようになった.

     本研究は,中心市街地の大半が津波浸水想定区域となる都市において,津波防災対策の実現が都市の環境負荷を低減させることができるという仮説を立て,簡易なモデルを用いたシミュレーションによって実証する.高知市を対象として,将来の居住意向に関するアンケート調査をもとに統計モデルを構築し,人口分布と環境負荷を推計したところ,本研究の仮説を支持する結果が得られた.定量的な比較分析の結果,津波防災対策の実現により,2050年の都市は一人当たり年11%のCO2が削減できることが推計された.

  • 岡本 健, 今井 龍一
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_60-I_71
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     都市部では,今後老朽化の著しいインフラ設備や地下埋設物が輻輳している箇所での構造物の改築・更新・新設といった事業の増加が予想される.既存の構造物は主に二次元図面で管理されているため,工事施工の際に地下埋設物の位置・高さの把握が困難となっている.

     本研究の目的は,既存研究による地下埋設物の簡易な三次元モデル生成手法を改善し,得られた三次元モデルを用いて既存の二次元図面を効率的に補正する手法の確立とした.具体的には,実現場において補正効率化のため開発したシステムを用いて二次元図面の更新手法を試行し,実用化に向け従来手法と考案した更新手法の作業時間とを比較検証した.その結果,生成した三次元モデルから画像データを抽出し,既存二次元図面と重ね合わせると迅速な図面の補正が可能であることを確認した.

  • 小林 優一, 緒方 正剛, 小林 一郎, 柿本 竜治
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_72-I_81
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     筆者らは,これまで土木事業において事業を効率よく進め,かつ関係者間での合意形成を図る一つとして,モデル空間の構築手法や利用方法について研究してきた.その中で,事業を効率よくマネジメントするには,専門の組織ないしは個人が必要であること,さらに,その役割を明確にすることなどの必要性について提唱してきた.国土交通省が公開しているガイドラインでは,地形モデルや構造物モデルなどのCIMモデルの構築手法,設計及び施工など一部分への利活用例を中心に示されている.一方,事業全体を通しての利用例は事業の守秘義務などの関係から示されていない.

     本論文は,既往研究でICTを活用した事業例を題材にBIM/CIMで取り扱うモデル空間について利活用法,その在り方について分析した.その分析結果を踏まえ,事業全体をマネジメントするためのモデル空間として包括的モデル空間を提案し,現在行われている事業の受発注者へのヒアリングをもとに,その内容について述べる.

  • 大西 智樹, 宮本 和明
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_82-I_91
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     わが国のPFIは導入から20年が経過し,今後はインフラ事業へのさらなる推進が期待されている.新設のインフラPFIを考える場合,まず国民経済的に見た経済分析での基準を満たした上で,財務分析,民間資金の融資分析,財政支出分析をもとに事業スキームを構築する必要がある.この4つの分析は相互に連関するが,従来はそれぞれ個別に実施されており,総合的な視点からスキームを構築することは困難である.そこで,本研究では,PFIを含む多様な事業スキームの比較評価を効率的に行うために,それらを統合した分析手法を提案することを目的としている.まず,統合分析の基本構成を詳述した上で統合分析表の基本形を構成している.さらに,仮想の新設道路事業を設定し,ケーススタディを通して事業スキーム構築における統合分析の有用性について確認している.

  • 中洲 啓太, 光谷 友樹, 井星 雄貴, 出口 桂輔, 和田 卓
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_92-I_103
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     国土交通省は,令和2年5月までに,技術提案・交渉方式を13工事に適用しており,その適用件数は増加傾向にある.しかしながら,技術提案・交渉方式の一層の適用拡大には,通常の設計・施工分離発注とは異なる技術提案・交渉方式としての設計業務及び技術協力業務(以下,「設計・技術協力業務」という.)の実施手順や,発注者,施工者,設計者(以下,「三者」という.)の役割分担等を明確にし,施工契約締結までの三者の負担を軽減することが課題となる.本稿は,令和元年12月までに,技術提案・交渉方式を適用し,施工完了,又は,施工中の6工事の三者にヒアリング等を行い,設計・技術協力業務の実施状況,負担要因を把握し,技術提案・交渉方式(技術協力・施工タイプ)における設計・技術協力業務の効率化手法を提案するものである.

  • 山口 真司, 谷本 圭志, 長曽我部 まどか
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_104-I_112
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     わが国では災害の激甚化に伴い,復旧に要する時間が長期化する傾向にある.建設業の人手不足に伴って復旧の長期化が慢性的になることが懸念されることから,今後は,長期化に適応した復旧のあり方の検討も重要となってくる.そのためには,復旧における生活の影響の全体像を明らかにするとともに,これらの影響と復旧の長期化との関係を把握しておくことが有意義である.しかし,生活の影響を把握することは必ずしも容易ではない.そこで本研究では,地元の新聞記事を用いて,生活の影響の推移を俯瞰的に把握するための手法を自然言語処理と多変量解析を組み合わせて構築するとともに,いくつかの災害事例を対象として復旧の長期化ならびに建設業における人手不足の影響を実証的に考察する.

  • 尾形 愛美, 羽鳥 剛史, 中前 茂之, 塩入 悠立
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_113-I_121
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     現在,建設技能労慟者の高齢化や若年参画者の減少により,建設分野における技術伝承が喫緊の課題となっている.本研究では,地方建設会社を対象として,技術者の伝承経験や技能形成,当該組織における技術伝承の仕組みについて事例分析を行った.その際,地方建設会社という個別集団における技術伝承の仕組みを検討するための事例分析の方法として,技術伝承に関わる様々な要素を多次元尺度構成法により集約化し,技術伝承のパターンを析出する手法を提案・適用した.その結果,現場での経験を中心とした技術伝承のパターンが析出されると共に,技術者の技能形成においても現場経験が中心的な役割を果たす可能性が示された.ただし,以眈は,現場において技術者自身が独学により技術を学び取る傾向が強かったが,現在は,現場以外にも勉強会や見学会等の様々な機会を通じて技術を学ぶ傾向にあり,技術伝承やそこでの学びのスタイルが変わりつつある可能性も示された.

  • 島多 昭典, 矢部 育夫, 倉内 公嘉, 高野 伸栄
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_122-I_131
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     平成28年8月北海道豪雨災害においては,地域に精通した地元の建設会社や建設コンサルタント等の技術者,作業員が非常時の特別な体制で被災状況の把握や応急復旧を進めた.さらに翌年度にかけて日勝峠などの復旧に向けた対応を厳しい条件下で継続した.この間,長時間勤務の継続に加え,災害対応の経験不足や情報共有不足に苦労した関係者も少なくない.

     本稿は,地域の建設会社に対する応急復旧についての実態調査を行うとともに,産学官から構成されるワーキンググループにおいて実体験等を踏まえた課題の整理と対策の検討を行い,今後の大規模な災害に備え,地元の建設産業が,災害対応時に果たすべき役割やその際の課題を明らかにしたものである.

  • 宮原 史, 堤 盛人
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_132-I_145
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     道路橋を適切に維持管理してゆくためには,維持管理に関わる主体が行う行為や意思決定に必要な技術力を有する技術者が継続的に確保できるように,目標を明確にした戦略的な人材育成を行う必要がある.一方,非破壊試験技術,モニタリング技術等,維持管理を支援するツールの開発が推進されている.支援ツールは闇雲に適用しても維持管理の質が改善されるとは限らず,支援ツールを使いこなせることも技術者に必要な技術力の1つと考えられる.

     そこで本研究では,戦略的な人材育成の実現に向け,認知心理学に基づき教育分野で開発された「ブルーム・タキソノミー」の枠組を用いて,支援ツールを適切に用いて道路橋の維持管理における損傷状態の把握や対策の決定といった技術的な判断や検討,及び措置の質を改善する技術力の解明を試みる.

  • 慈道 充, 曽我 恭匡, 齊藤 暖, 貝戸 清之
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_146-I_156
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     阪神高速道路では,鋼床版に生じているき裂損傷を損傷ごとにデータベースで管理している.このうち,Uリブ鋼床版に生じているき裂を対象に相関分析を実施して,き裂発生に影響を及ぼす要因を分析した.相関分析にあたっては,目的変数,説明変数の性質に応じて相関分析の方法を使い分けた.鋼床版のき裂がマイナー則に従う疲労き裂と仮定して,数学的な考察と構造解析による評価を行い,目的変数と説明変数の相関の特性を評価した.検討の結果,き裂の有無と説明変数の一つとして設定した10t等価換算累積軸数との間に相関がみられ,数学的考察と整合がとれていることがわかり,相関分析結果がある程度疲労損傷を説明しうることがわかった.

  • 川手 修, 小濱 健吾, 貝戸 清之, 宮田 弘和
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_157-I_168
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     トンネル内の換気・排煙用に設置されているジェットファンは5~10年ごとに分解整備が行われる.このとき,分解整備のために撤去されたジェットファンの代替として,整備済みのジェットファンが転用設置される.ジェットファンは製造メーカーによって設置構造が異なり,ジェットファンをトンネル躯体から吊り下げるための吊金具類は転用設置を行うたびに新規製作する必要があり,ジェットファンが取り外されている期間の安全性や,費用の増加が懸念されている.本研究では,製造メーカーによって異なる設置構造を有するジェットファンを共通的に設置可能な共通吊金具を提案し,実用可能性を検討する.さらに,共通吊金具の導入によって大きく変わるであろう今後のジェットファンの維持管理について言及する.

特集号(報告)
  • 岩田 通明, 横井 宏行
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_169-I_179
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     英国の公共調達では,フレームワーク合意,共同調達,一元化調達といった日本とは異なる制度が広く活用されている.これら制度は,公共調達における入札・契約制度の効率化を目的とするとともに,より広く建設産業全体の改革を促す意図も含んで,導入・普及されてきた経緯がある.

     本論文では,これらの英国の制度の内容や運用の実際を英国の建設コンサルタント会社の生産現場にて得た情報に基づいて報告するとともに,制度導入により得られている利点を紹介する.さらに,これらの制度を日本に導入するとした場合の利点の生かし方について考察した.

  • 木下 義昭, 佐川 康貴
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_180-I_191
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

     道路メンテナンス年報によると市町村の管理する橋梁の修繕の実施状況は,国の管理する橋梁よりも遅れており問題となっている.そこで,本稿では,インフラ構造物の維持管理が課題となっている地方自治体のうち,玉名市役所が管理する橋梁を対象に,まず,財源制約下で実践する独自の取組みとして,橋梁修繕の直営施工の事例を示す.次に,取組みの更なる改善の必要性について述べる.そして,市役所職員が抱えるマンパワー不足を補完するため,地域建設業が保有する既存の施工技術を活用した橋梁修繕の分離発注,および,発注業務の効率化について述べる.最後に,実橋における分離発注の事例,および,玉名市役所の橋梁修繕の進捗状況を示し,直営施工および分離発注の有効性について述べるとともに,防災・安全交付金の活用における業務実施上の制約について示す.

feedback
Top