2020 年 76 巻 2 号 p. I_146-I_156
阪神高速道路では,鋼床版に生じているき裂損傷を損傷ごとにデータベースで管理している.このうち,Uリブ鋼床版に生じているき裂を対象に相関分析を実施して,き裂発生に影響を及ぼす要因を分析した.相関分析にあたっては,目的変数,説明変数の性質に応じて相関分析の方法を使い分けた.鋼床版のき裂がマイナー則に従う疲労き裂と仮定して,数学的な考察と構造解析による評価を行い,目的変数と説明変数の相関の特性を評価した.検討の結果,き裂の有無と説明変数の一つとして設定した10t等価換算累積軸数との間に相関がみられ,数学的考察と整合がとれていることがわかり,相関分析結果がある程度疲労損傷を説明しうることがわかった.