2020 年 76 巻 2 号 p. I_180-I_191
道路メンテナンス年報によると市町村の管理する橋梁の修繕の実施状況は,国の管理する橋梁よりも遅れており問題となっている.そこで,本稿では,インフラ構造物の維持管理が課題となっている地方自治体のうち,玉名市役所が管理する橋梁を対象に,まず,財源制約下で実践する独自の取組みとして,橋梁修繕の直営施工の事例を示す.次に,取組みの更なる改善の必要性について述べる.そして,市役所職員が抱えるマンパワー不足を補完するため,地域建設業が保有する既存の施工技術を活用した橋梁修繕の分離発注,および,発注業務の効率化について述べる.最後に,実橋における分離発注の事例,および,玉名市役所の橋梁修繕の進捗状況を示し,直営施工および分離発注の有効性について述べるとともに,防災・安全交付金の活用における業務実施上の制約について示す.