2021 年 77 巻 2 号 p. I_30-I_41
水道事業は,人口減少社会の到来,節水型社会への移行や産業構造の変化等に伴う水需要の減少により,採算が取れる料金収入を確保できない事業体も少なくない.一方,高度経済成長期に整備した水道施設の老朽化の進行,施設の耐震化による修繕・更新など,今後,経費増大が予想される.そのような中,Public Private Partnership(PPP)が注目され,包括民間委託やPFIなど多様な方式が導入されている.2018年12月6日に改正水道法が成立し,公共施設の運営権を民間企業に一定期間売却するコンセッション方式の導入が水道事業でも可能となった.一方,海外のPPP推進国では,水道料金の高騰や経営の不透明性等を理由に,2000〜2016年に,世界33ヶ国の267都市で水道事業が再公営化されるなど,公共サービスとしての特性を十分踏まえた契約方式の採用・運用が不可欠といえる.本研究は,我が国の比較的小規模な水道事業におけるコンセッション方式の導入可能性について定量的に考察することを目的とする.埼玉県秩父地域水道事業体を参考に,仮想水道事業モデルを構築し,事業リスクを考慮した経営シミュレーションを通じて,水道事業コンセッションに関する課題について分析・抽出を試みた.