2022 年 78 巻 1 号 p. 118-132
道路標識や照明施設などの小規模附属物は,道路主構造物と比較して寿命が短い.道路主構造物の老朽化が顕在化するような路線においては,小規模附属物は複数回の更新を経験している可能性があり,既往の方法論を用いて劣化予測を行う際には,点検データと同時に更新履歴データが必要となる.しかし,小規模附属物は維持管理上の優先性に劣ることから,更新履歴データが蓄積されていない場合が少なくない.そこで本研究では,個々の照明柱の更新時点および更新回数を潜在的な確率変数と捉えた上で,照明柱の劣化・更新過程をモデル化する.さらに,照明柱に対する実際の点検データを用いた実証分析を通して,本研究の有用性を議論するとともに,劣化予測結果に基づく倒壊リスク分析によって今後の照明柱の更新計画の妥当性を検証する.