2022 年 78 巻 1 号 p. 99-117
社会基盤施設に対する長寿命化技術に関しては,その導入効果を定量的かつ継続的に評価するための枠組みを構築しておくことがアセットマネジメントを実践していく上で重要な課題となる.本研究では,長寿命化技術の導入効果を導入前後の劣化速度の差異として評価する.その際に,長寿命化技術の導入効果が劣化過程のいずれの段階で最も発現し得るかを明らかにするために,劣化速度を規定する劣化ハザード率に対して,健全度ごとに段階的に変化する劣化異質性を考慮した混合マルコフ劣化ハザードモデルを提案する.推定された異質性パラメータの差異の有意性を仮説検定により評価し,長寿命化技術の導入効果を定量的に事後評価する.さらに,実際の点検データを用いて高速道路RC床版への防水層導入効果を評価し,提案手法の有用性を示す.