2022 年 78 巻 1 号 p. 38-50
公共工事のサプライチェーンで活用する情報システムを社会実装するにあたり関係者間の合意形成を行うには,各利害関係者が個別に負担する費用に加え,開発や運用にかかる費用分担は,発注者,元請,下請の各主体によって公平かつ経済合理的に実現される必要がある.本論文では,ブロックチェーンとスマートコントラクト技術を活用した施工管理情報システムを対象に,その開発や運用に関する費用分担の在り方を検討することを目的として,協力ゲーム理論に基づき,提携順序に時間的前後関係を考慮した加重シャープレイ値と順序仁を公共工事のサプライチェーンに適用し,費用分担の公平性と経済合理性を評価した.その結果,加重シャープレイ値を用いたモデルは,適切な配分手法となり得ることを示した.