2022 年 78 巻 2 号 p. I_55-I_62
近年道路の維持管理分野において,包括的民間委託を導入する動きが見られる.包括委託では契約内容や要求水準等に従い,民間事業者によって適正かつ確実なサービスの提供を確保されているかを確認するためのモニタリングが重要である.本研究では2021年度より道路等包括管理事業の本格運用を開始した東京都府中市を対象に,管理データを用いて道路巡回業務の実態を分析するとともに,パフォーマンス指標を設定して試算した.その結果,清掃,植栽管理,補修・修繕の3業務で巡回中発見及び要望相談の件数が多いこと,路面の異常等の発見率(指標①)は,業務ごとで値の水準や月変動が異なるものの,時系列では上昇傾向がみられること,要望受付から措置実施までの所要日数(指標②)は,清掃,植栽管理が比較的短い一方,補修・修繕は一定日数を要していることなどがわかった.