2022 年 78 巻 2 号 p. I_95-I_112
アセットマネジメントの国際規格(ISO55000シリーズ)では,アセットマネジメントを「アセットからの価値を実現する組織の調整された活動」と定義しており,将来の事業費ベースの維持更新費用の縮減にとどまらず,インフラの役割や性能を反映したインフラの資産価値を可能な限り増大させる対策を講じることを求めている.本研究では資産価値という用語が「アセットからの価値」と「アセットの価値」という異なる意味を包括する複合的概念であることを指摘し,ロジックモデルを用いて資産価値の増大を目指すアセットマネジメントのメカニズムを体系的にモデル化する.あわせて,内外のアセットマネジメント事例における問題点を指摘し,マネジメントにおける資産価値評価の実践上の課題について考察する.