抄録
ロードプライシング実施の主たる目的に大気環境の改善があるが,大気環境への影響力の大きい貨物車についてプライシング実施時の分析を行った既存研究は少ない.そこで本研究では,プライシング実施によって生じうる貨物輸送の固有の変化を類型化し,その変化の一つである貨物車の積替え行動の変化と,それに伴う貨物車ODの変化を詳しく分析する.具体的には,目的地まで貨物を直送で運ぶか,もしくは途中の中継施設で積替えるかを離散選択モデルで分析するための方法論を構築する.モデル推定に必要なデータを,都市圏での貨物輸送行動を記述したものとして一般的な物資流動調査から導出する手法も同時に提案する.最後に,東京都心部で計画されているコードンプライシングを対象にモデルを適用する.