2007 年 63 巻 2 号 p. 169-181
近年,実務的・学術的に検討が進められているモビリティ・マネジメントにおいては,「居住地域」や「学校」における取り組みに比べて「職場」におけるモビリティ・マネジメント(職場MM)の取り組みの蓄積が不十分であると考えられる.この認識の下,本研究では職場MM,とりわけ「職場組織」の変容を通して人々の交通行動変容を期待する「組織的プログラム」について検討を行うことを目的として,埼玉県内の事業所を対象としたアンケート調査を実施し,分析を行った.その結果,多くの事業所がマイカー通勤抑制組織目標を有している一方,従業員はマイカー通勤抑制の取り組みに対して反対しているであろうと考えていること,ならびにマイカー通勤抑制組織目標の規定因には「利己的動機」と「公共的動機」の双方が存在することが示された.