2010 年 2 巻 p. 108-115
本研究は,河川の実務者を対象としたフィールド体験型教育プログラムを提案するため,実務者に必要な河川環境の見方を既往の研究から整理し,プログラムを実践してその評価を行った.その結果,フィールド体験は捉えにくい水面下の現象を実感することができ,物理環境調査で得られる数値の示す意味を具体的に理解できること,実際にフィールドを見たとき生息場を見出す新たな視点が持てたこと,フィールド体験と関連性の高い情報は効果的に習得できることが示唆された.また,プログラムの体験による効果を精査した上で内容によっては進め方や人数の制限,実施場所の検討が必要であること,事前に受講者の経験や希望を把握しプログラムの内容に反映させること,プログラムは体験と講義とを合わせて実施し体系化を図ることが今後の課題として残された.