近年,講義資料や論文などの教育研究情報の多くがデジタル化され,ネットワークで流通されることが一般的となっている.本研究では教育研究情報が有する著作権の特殊性について指摘し,教育研究情報のデジタル化に伴って生じる著作権問題について考察する.さらに,近年急速に進展しつつある教育研究情報のオープン化戦略に関する既往事例をとりあげ,電子環境下における学術情報流通に伴う著作権制度上の課題について考察する.さらに,日本,米国,英国の土木学会における著作権の考え方を比較し,教育研究情報の電子流通,オープン化に対して学協会が取り組むべき検討課題について考察する.その上で,土木学会における教育研究情報の電子流通方策についての意見を述べる.