2011 年 67 巻 4 号 p. 250-258
化石燃料の燃焼によるCO2排出削減に関連し,カーボンニュートラル で地域における炭素循環も期待できる使用済植物油のバイオディーゼル燃料化が注目されている.現状,使用済植物油の多くがアルカリ触媒法により燃料化されているが,高pH廃液やグリセリンの処理費によるコスト増が指摘されている.この問題に対し,油脂分解酵素として知られるリパーゼ活性を持つ微生物そのものを触媒として用いる新しい微生物触媒法に着目した.リパーゼ活性が報告されている糸状菌・酵母を対象としたスクリーニングを実施し,Rhizupus oryzae NBRC 9364株を選定するとともに,高いリパーゼ加水分解活性およびバイオディーゼル燃料への変換効果を得る条件について検討した.その結果,85%程度のメチルエステル化とグリセリンの削減効果を確認することができた.