2011 年 67 巻 6 号 p. II_213-II_224
本研究では特定の機能に特化し製造業がほとんどない小規模都市において低炭素社会を実現するための対策費用を含む定量的な計画策定手法を開発し,これをマレーシアのプトラジャヤに適用した.基準年2007年,目標年2025年として社会経済指標,エネルギー需要量,CO2排出量の推計を行った.目標年対策導入ケースについては,交通対策重点,再生可能エネルギー利用促進,建物対策重点の3通りを想定した.その結果,対策の導入によりいずれの対策ケースでも「経済活動あたりCO2排出量を2025年までに2007年比で45%削減」という目標が達成可能であるという推計結果が得られ,対策費用は高い順に再生可能エネルギー利用促進,建物対策重点,交通対策重点となると推計された.C-ExSSにより,低炭素計画の方針および対策について,費用をふまえ地域に適した現実的な検討が可能になると考えられる.