抄録
発展途上国では,調理や暖房で固形燃料が多く使用され,その燃焼によって室内で発生するPM2.5による健康影響が懸念されている.本研究では,各国の室内PM2.5暴露濃度をコホート別に都市域と農村域ごとに推計できるモデルの開発を目標に,中国を対象に,10省(北京,河北,黒龍江,浙江,安徽,河南,広東,四川,雲南,甘粛)の都市域と農村域における生活時間,家庭内燃料消費量,人口や住居の統計情報を用いて,各地域のコホート別の室内PM2.5暴露濃度を都市域と都市域を区別して推計することを試みた.その結果,暴露濃度は農村域の方が高く,固形燃料の消費量,コホート別の調理時間や自宅滞在時間,住居の床面積に影響されることが明らかになった.黒龍江省農村域の60~64歳の無職女性の暴露濃度が最も高く3027μg/m3であった.