抄録
産業廃棄物を残置したまま実施する不法投棄現場の地下水の原位置浄化は,廃棄物の全量撤去に比べて経済的負担が少ない重要な技術であり,その社会的必要性は高い.本研究では,三重県桑名市の不法投棄現場を対象として,複数の揮発性有機化合物(VOC)により汚染された地下水を,地下水揚水循環浄化工法により5年間で目標レベルまで浄化することを試みた.その結果,浄化目標達成には,本研究で提案する複数のVOCを統合的に評価する指標である加重平均濃度とその等濃度分布図の作成による地下水浄化過程の把握,汚染残留箇所の特定,計画見直し,追加的な浄化促進対策の実施を一連のプロセスとして実施することが重要であることを明らかにした.