2011 年 67 巻 6 号 p. II_513-II_522
本研究では,対象エリアでのマテリアルストック・フローを考慮し,住宅用木材の需給量が人工林の炭素固定に与える影響について定量化を行った.2050年までの期間を対象としたシナリオ分析の結果,住宅により固定される1年あたりの炭素量は減少する結果となったが,長寿命型住宅を導入するほど多いことがわかった.人工林による1年あたりの炭素固定量は減少するが,木材需要量が多い住宅を導入するほど多くなる結果となった.また,炭素固定量を二酸化炭素吸収量に換算したところ,人工林全域では減少する結果となった.しかし,京都議定書の対象となる二酸化炭素吸収量は長寿命住宅の導入によって増加する可能性があることが明らかになった.