抄録
国内では下水道普及率が70%を超え,衛生環境が大きく改善されたが,今後はこれらの施設が更新を迎えることになる.そのため多額の費用が必要となることが考えられている.その一方で国内では今後,長期に渡る人口減少が予測されており,使用料収入の減少といったことによる,経営の不健全性が危惧されている.本研究では,下水道が既に普及している都市として北海道の旭川市を対象とし,各種のシナリオを設定して将来の下水処理にかかる費用の予測を行った.その結果,旭川市では,個別処理システムを導入するよりも現在の下水道システムを維持した方が費用面で安価になることが分かった.さらに,管渠の更新を効率的に行うことで,現状を維持した場合よりも費用を低減できることが分かった.