2012 年 68 巻 5 号 p. I_121-I_125
フナフチ環礁のラグーン海岸の主要な汚濁源は,ボトムレスのSeptic Tankから流出する生活排水であることが著者らの既報で報告されている.本研究では,生活排水の流出機構を明らかにするために,まずSeptic Tank内の水位を調べた.その結果,潮位と3~4時間程度のタイムラグで連動して変化していた.次にラグーン海岸において,干潮時,満潮時に溶存態無機窒素濃度や大腸菌数を調べたところ,いずれも干潮時の方が高い値を示した.したがって,上げ潮のときにSeptic Tank内に海水が浸入し,下げ潮のときに生活排水が流出しているものと考えられた.ラグーン海岸で大腸菌数を連続測定したところ,小潮から大潮の間では下げ潮のときに最大で26,600MPN/100mLを示したが,大潮の直後では1,080MPN/100mLであった.以上のことから,下げ潮のときにボトムレスのSeptic Tankからラグーン海岸に流出する生活排水の負荷には,潮位変動の履歴が関係していることがわかった.