抄録
本研究では,全国的な多数のダム湖を対象に,気候変動による水質変化の予測・展望を行った.37のダム湖を対象として,GCMの出力結果を用い,3期間(現在および今世紀半ばと末期)におけるダム湖の鉛直水温分布の計算を行った.この計算結果に基づいて,アオコ発生の指標と考えられる年間で表層水温が20℃以上かつ表層水温勾配が0.5℃/m以上になる日数を評価した.これに加え,現状の各ダムにおける流入河川のTP濃度を用いて,年平均の表層クロロフィルa濃度の経験式を作成した.この式を用いて,将来の年平均の表層クロロフィルa濃度を推定した.その結果,クロロフィルa濃度は全国的に増加し,富栄養化するダム湖が増加することが予測された.また富栄養湖の増加数は,特に東日本の方が多いことが示された.