抄録
カーボン・ニュートラルとされるバイオマス資源の中でも,特に廃棄物系バイオマスの利活用とそれによる化石燃料代替の促進は,資源循環と低炭素化の両側面において重要である.本研究では,下水汚泥等の都市系廃棄物バイオマスから重油や天然ガス代替のバイオオイルを生成する急速熱分解技術に着目し,それが下水処理プロセスに適用されたときの温室効果ガス(GHG)の削減効果を,LCAの手法を用いて定量的に評価した.その上で,大阪府および兵庫県下における下水処理施設の連携や焼却炉の統廃合に関する中長期計画を策定し,施設更新と技術選択のマネジメントによる地域レベルでのGHG削減効果を分析した.その結果,熱分解オイル化技術の導入によって,汚泥焼却時のN2O排出量の削減やバイオオイルによる重油代替などが進み,単純焼却と比べて54.3%のGHGが削減可能であることが明らかになった.また,一部の炉を廃止し,下水汚泥処理の集約化を図る中長期戦略によるGHG削減効果が大きいこともわかった.