2012 年 68 巻 5 号 p. I_159-I_169
IPCC AR5に向けて作成されたCMIP5気候シナリオの特徴を把握するため,年平均気温,年平均降水量,年平均日射の将来変化の分析を行った.その結果,2090年付近において日本域付近の気温は1990年付近に比べRCP8.5で4.9℃と最も大きく上昇,降水量はRCP4.5で9.2%増加,日射はRCP8.5で8.7W/m2増加となることがわかった.CMIP3とCMIP5の特徴を比較した結果,気温変化に関しては,放射強制力が近いRCPシナリオとSRESシナリオの間では類似な気温上昇を示した.降水量に関しては,類似な排出シナリオの間でも違いがみられたがいずれの場合でも増加が予測されている.日射の場合,CMIP5気候シナリオでは増加するがCMIP3シナリオでは減少すると予測され,日射に感度が高い影響評価では注意が必要である.