抄録
発展途上国において室内での固形燃料の燃焼により発生するPM2.5による健康影響が懸念されている.本研究では,インド29州の都市域と農村域を対象に,家庭内での燃料の燃焼によって排出されるPM2.5による室内空間滞在中の個人暴露濃度を,家庭内の燃料消費量の用途別の燃料種使用割合,世帯や住居に関する統計情報の地域別の詳細なデータを用いて推計した.その結果,調理に薪を使用する割合の多い農村域の台所滞在中の個人暴露濃度が都市域に比べて大きく,また,35~64歳の無職女性の台所滞在中の個人暴露濃度が他の個人属性集団よりも高く,Rajasthan州農村域での35~64歳の無職女性の暴露濃度が最も高く1033μg/m3との結果を得た.男性は女性より低いが65歳以上の無職男性の室内滞在中の個人暴露濃度は25~34歳の有職女性より高かった.