抄録
微小粒子状物質(PM2.5)による健康影響が懸念されているが,中国では,主に農村部における石炭やバイオマスなどの固形燃料を室内で使用することによる室内曝露とともに,急増する自動車交通起源のPM2.5による屋外および室内曝露のそれぞれが深刻な問題となっている.
本研究は,中国の31の省・直轄市を対象として,室内での燃料種・用途別のエネルギー使用量データからPM2.5発生量を推計するとともに,地域別の交通量推計および簡易沿道拡散モデルによって,道路交通起源のPM2.5濃度を推計し,これに年齢等の個人属性別の生活時間利用データを用いた微環境曝露モデルを適用して,全曝露濃度に占める各発生源からの寄与を推計した.その結果,都市では道路起源の寄与が大きく,農村では室内起源の寄与が大きい結果となり,また年齢・性別による違いも大きいことが分かった.