抄録
日本列島を対象に気候システムの温暖化による斜面崩壊の人的リスクを見積もるため,複数の気候モデル(MIROC3.2Medres, MRI-CGCM2.3.2, GFDL CM2.1, CSIRO MK3.0)と排出量シナリオ(SRES-A1B,A2,B1)に応じた各年代(2000年期, 2020年期, 2050年期, 2090年期)の再現年(50年, 100年)の降雨極値を求め,斜面崩壊発生確率を検討した.この結果と人口分布データを照合し,斜面崩壊による影響人口の関係性を求めることで,空間的,定量的な人的リスクの推計を試みた.解析過程の中で,現在気候で斜面崩壊の影響を受ける人口が総人口の1%である結果を得た.また,温暖化による影響評価より,日本列島各地の都道府県で現在比10%の増加となること,日本海側で影響人口増加の傾向が高まることを明らかにした.